エイトール・ヴィラ=ロボス(1887年3月5日〜1959年11月17日)はブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、学者・音楽家ハウル・ヴィラ=ロボスの息子として生まれた。早くから音楽に接し、幼少時より父親にチェロとクラリネットの演奏を教わった。青年ヴィラ=ロボスは、バッハの作品を深く敬愛したが、最も魅了されたのは、リオ・デ・ジャネイロの夜々にこだまする「ショーロ」や「モーダ」など、ブラジルのストリートや小都市で生まれる民族音楽であった。早くも18歳にしてミュージシャンとして働き始め、ブラジル全土を旅して広大な国土の民衆と文化の伝統やフォークロアを学ぶ。
この絶え間ない旅の中からヴィラ=ロボスの音楽 ———モダンで独創的、不協和で感動的な音楽が生まれた。当初、批評家や聴衆の強い反感や激怒すら招いたヴィラ=ロボスの作品は、ブラジルの民衆と自然、その精神と暮らしの躍動的表現によって、まもなくブラジルとヨーロッパ、アメリカを魅了することになる。
「私はモダンたらんとして不協和音を書くわけではない。まったく違う。私の作品は、これまでの研究や、ブラジルの自然を映し出すために考え至った集大成の壮大な成果だ。直感と経験に従って己の教養を育もうとしたとき、一見音楽とはまったく無関係な作品を調査・研究することでしか深い認識に到達できないことがわかった。だから、私の最初の書物はブラジルの地図であり、そのブラジルを町から町へ、州から州へ、森林から森林へと狩猟して、その土地の魂を綿密に調べた。それから、その土地の人々の正確を、そして、その土地の自然の驚異を。続いて、自分の研究を外国の作品と付き合わせ、自分の考えの主観性と不変性を堅固にする支えを探した」
ヴィラ=ロボスは生涯を通じ1000曲以上の作品を遺し、クラシック音楽分野でブラジルの真の伝統を確立しただけなく、自身の想像力を広めて国際的評価を得ました。1959年に没して50年を経た今日でも、ブラジルの最も有力なクラシック作曲家として、その作品は愛奏され続けている。
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