【レポート】 「さまざまな顔をもつ国、ブラジル!」&「THE MUSIC OF BRAZIL」ローンチ・レセプション

ブラジル大使館内の「THE MUSIC OF BRAZIL」ローンチ・レセプションで、当協会理事の清水安紀がピアニストとして出演しました!


■シリーズ展「さまざまな顔をもつ国、ブラジル!」

<2019年3月26日~5月17日、駐日ブラジル大使館にて>
詳しい開館時間は駐日ブラジル大使館のHPで確認をお願いします。

この展覧会の目的と内容:
「今日のブラジルの姿を新たな視点から日本の皆さまに紹介し、ブラジルの洗練された多様な文化とライフスタイルを知っていただくことを目的とします。このたび駐日ブラジル大使館が開催するこの展示会では、クラシック音楽分野の偉大なブラジル人作曲家を取り上げます」(※駐日ブラジル大使館のFacebookより引用)

オーケストラ曲を作った12人のブラジルのクラシック音楽の作曲家を一人ずつ紹介する大きなパネルが、駐日ブラジル大使館の地下にあるオーディトリアムの壁一面にずらりと展示されています。紹介された文章や写真はブラジル大使館文化部の皆様が編集されたもので、普及の意味でも研究資料としても、大変価値の高いものばかりです。QRコードで代表作が聴けるような工夫もしてあります。「ブラジルにはサンバやボサノバだけではない!クラシック音楽もこんなにいいものがあるんだ!」という迫力が伝わってくるパネルは、今後も大いに活用されていくことでしょう。「必要であれば、学校や文化施設などへの貸し出しも検討しています。」(文化部)。このパネルはまさに永久保存版です!

 

■「THE MUSIC OF BRAZIL」シリーズ化を記念して、ローンチ・レセプションが開催されました!<2019年3月26日㈫18時半~20時、駐日ブラジル大使館にて>

ナクソス・ジャパン(株)から発売されることになった上記シリーズの概要が、CEOの西崎博様の司会・進行により、プロジェクターを使用して紹介されました。

⇒プレスリリースより下記の文章を一部紹介します。
「THE MUSIC OF BRAZIL」について・・・18世紀以降のブラジル作曲家の作品を世界に広めるためにブラジル外務省がたちあげたプロジェクト「ブラジル・イン・コンセルトBrasil em Concerto」の一環として企画されたもので、19世紀から20世紀にかけて作曲された100を超える管弦楽曲が、ミナス・ジェライス・フィルハーモニー管弦楽団、ゴイアス・フィルハーモニー管弦楽団、サンパウロ交響楽団によって録音されることになっており、今後はさらに室内楽作品や声楽作品も収録されていく予定です。

【プロジェクトの概要】
①ブラジル国内のオーケストラ3団体および合唱団、ソリストたちによる録音
②2023年までにアルバム約30枚分の管弦楽曲を録音予定
③19世紀以降の管弦楽曲およそ100曲を録音、そのほとんどが世界初録音
④録音を予定している12人の作曲家:カルロス・ゴメス、エンリキ・オズワルド、アウベルト・ネポムセーノ、エイトール・ヴィラ=ロボス、ロレンゾ・フェルナンデス、フランシスコ・ミニョーネ、ジョゼ・シケイラ、カマルゴ・グァルニエリ、ゲーハ=ペイシェ、クラウジオ・サントロ、エジノ・クリーゲル、アウメイダ・プラド

 

大使館内のローンチ・レセプションで、当協会理事の清水安紀がピアニストとして出演しました! <3月26日㈫18時30分~20時、駐日ブラジル大使館にて>

・プロジェクト「THE MUSIC OF BRAZIL」は、ファビオ・メケッチ指揮ミナス・ジェライス・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「アウベルト・ネポムセーノ(1864-1920)」作品集の録音からスタートしました。そのような経緯もあり、ブラジル外務省から駐日ブラジル大使館を経由して、「ネポムセーノ」のピアノ曲がリクエストされました。ネポムセーノの影響を受けたと言われるヴィラ=ロボスの作品も加えた形で、当協会理事のピアニストの清水安紀さんによって演奏されました。依頼を受けてから選曲も含めて、準備期間がたったの3週間!!そのような事実をだれも全く想像できないような見事な熱演に、会場に招待されたお客様方が心を奪われていくのが感じられました。

・演奏曲目
Nepomuceno/ネポムセーノ
♪ Suíte Antiga /《古風な組曲》より (1893)
1. Prelude/プレリュード
2. Menuet/メヌエット

♪ Folhas d’album/《アルバムの一葉》より (1891)
2.Con moto/コン・モート
3.Andante mosso/アンダンテ・モッソ

Villa-Lobos/ヴィラ=ロボス
♪ Bachianas Brasileiras No.4 /《ブラジル風バッハ第4番》 全楽章 (1930-41)

日本ではまだほとんど知られていないネポムセーノの魅力がわかりやすく伝えられる作品を、清水安紀さんが選んでくれました。《古風な組曲》は題名通り、バロック風、バッハ風。《アルバムの一葉》はシューマン風。伝統的なクラシック音楽の趣の中に、時折ブラジルらしい雰囲気が感じられるようなネポムセーノの作品を今回初めて生で聴く方も多かったのではないでしょうか。

ヴィラ=ロボスの《ブラジル風バッハ第4番》はファンが多く、とても有名な作品ですが、聴く側にとっては幸せの極み、演奏する側にとっては超難関な作品です。もともとピアノ曲として作られ、のちにオーケストラ曲に編曲されました。

ゆったりとしたテンポで1楽章が始まりました。息の長いメロディラインは途切れることなく、たっぷり息が吹き込まれ、クライマックスを迎えます。このあたりである大事なことに気づきました。このテンポは故・村方千之氏(初代、日本ヴィラ=ロボス協会会長)がこの曲を指揮する時のテンポだ!と。村方氏の指揮法教室の伴奏ピアニストとして清水安紀さんが永年研鑽を積んでこられたからだとも言えますが、このテンポで歌うように演奏するのは誰もができることではありません。また、ピアノ以外の楽器の音色も聴こえてくるような演奏だったためか、村方氏がオーケストラを指揮している姿がグランドピアノの向こうに見えたような錯覚にさえ陥りました。さまざまな風景が目に浮かび、生演奏でしか味わえないドキドキ感をたっぷりと味わうことができました。

この日の演奏はブラジル駐日大使館のFacebookに全曲アップされています。ぜひお聴きください! そして、再演を期待しています!

文責: 日本ヴィラ=ロボス協会 市村由布子